知らない顔のあなたに

エンタメと私情

街に縁取られた自分を知って

アニメが好きでよく見ているのだけど、多分一番見ているので言うと「ODD TAXI」だと思う。

もう何周したか分からないくらい何度も見返しているし、台詞もだんだん頭に入ってきている。

 

「ODD TAXI」は動物が生きる世界でのミステリー・サスペンスなのだが、初めて見たときの最終話の衝撃と切なさを忘れられない。見た後の、誰かに話さずにはいられない感はすごかったし、今もまだ見ていない人には全力で勧めたくなる魅力がある。

 

一週目は、スモーキーな雰囲気とどう転がっていくか分からない展開、シリアスなのに何気ない会話の日常感とコミカルさもある感じがたまらなく好きで、30分×13話を一瞬で見きってしまった。

二週目以降は伏線や違和感を解消していく気持ちよさもあったけど、だんだん何気ない会話の中の本質をつくような鋭い台詞に引き込まれるようになった。

 

特にすきなのが9話のドブが樺沢に向かって言う台詞。

「自己肯定感は低いのに自己愛は強い。普通の奴らはそこまで自分に興味ないんだよ」

びっくりした。自分に興味ないほうが少数派なんて。

強い自己否定はこじれた自己愛で、それゆえ人に自分を肯定してもらいたがる。私もだいたいのところ樺沢と同じで強い自己否定感を持っている人間だから、ドブの言うことがとても強く響く。何回も見てるけどいまだに。

 

そしてその反面、これがドブのやり方なんだろう、と思った。人の弱いところを確実に握って、自分の掌のうえで転がせるよう仕向ける。ドブの台詞が正論なのか極論なのかを、まだ分からないでいる。

 

 

あと本当にオープニングが最高。オープニングにも伏線が沢山はられてるし、PUNPEEの気怠くてポップなラップがめちゃくちゃ心地良い。ぷかぷかと闇に沈んでいくようなサビの哀愁とかわいいアニメーション。何回でも見れます。

 

 

 

 

 

最近またODD TAXIを見出したのは、ドラマ「RoOT」を見ているからである。ODD TAXIの世界を実写で、とある探偵事務所の視点から描いたもので、河合優実と板東龍太の探偵コンビが主人公。雰囲気がまんまODD TAXIで、廃れてくたびれた空気感だけど、板東龍太演じる佐藤のバカさ加減が良い感じにODD TAXIのコミカルさを担保していて良い。

 

指宿探偵事務所だけがドラマオリジナルのキャラクターなのだが、他のキャストもアニメでの見た目や声をふんわり意識させるような選びでそれも面白い。

 

アニメでは大門が双子だけど一人になってたり、アニメではいない指宿探偵事務所がいる分話の構成も少し変わっていて、アニメが頭に入っている分その違いも気にしてみてしまう。

事件の展開が分かっているので、その違いも含めて、このドラマはどう終わらせるのか楽しみに見ていきたい。